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歯の神経を残す治療って何?抜かずに済むケースとは【歯髄保護ガイドライン準拠】

今回のテーマは。

” 歯の神経を残す治療”

についてお伝えします。

 

虫歯が神経に達しても「神経を残す治療」ができる時代になりました。

歯髄保護ガイドラインに基づく最新の保存療法とその成功率、神経を取るリスクをエビデンスベースで歯科医が解説します。

 

「神経を残したい」は、もうわがままじゃない

「虫歯が深いから神経を取りましょう」

こう言われた時、ためらいを感じたことはありませんか?

実は今、歯の神経を残す“歯髄温存療法”が、エビデンスに基づいて見直されています。

 

日本歯科保存学会の『歯髄保護の診療ガイドライン2024』では、MTAセメントを用いた神経温存療法(覆髄・断髄)が明確に推奨されており、多くの症例で神経を守れる可能性があるのです。

*日本歯科保存学会より

 

神経を取るとどうなる?知られざるデメリット

歯根破折のリスクが激増

歯の神経を取る(抜髄)と、歯は脆くなり、将来的に歯根破折で抜歯に至る可能性が高まります。

神経を取った歯は、取っていない歯に比べて

歯根破折のリスクが約7.4倍に高まる(Lertchirakarn et al., J Endod, 2021)

特に臼歯(奥歯)では、噛む力が集中するため破折リスクが高くなります。

これは、神経をとる際に削る量がどうしても多くなることが原因とされています。

 

感覚がなくなるため虫歯や炎症に気づきにくくなる

→ 自覚症状が出づらく、進行するまで発見が遅れる傾向があります。

 

神経を残す治療とは?【歯髄温存療法の種類】

間接覆髄(かんせつふくずい)

虫歯をギリギリまで除去し神経に触れずに覆う方法

直接覆髄(ちょくせつふくずい)

虫歯除去中に神経が一部露出した際に、MTAなどで直接覆う方法

断髄(だんずい)

神経の一部を除去して残りを保存する方法。

特に神経の炎症が部分的で済んでいる症例に有効

 

神経を残す治療の成功率は?

複数の研究により、MTAを使用した直接覆髄(Direct Pulp Capping)や断髄(Partial Pulpotomy)の高い成功率が報告されています。

  • 直接覆髄(Direct Pulp Capping):

ある研究では、MTAを用いた直接覆髄の成功率が92.5%であったと報告されています。

また、別の研究では、MTAを用いた直接覆髄の成功率が91%であったと報告されています。  

  • 断髄(Partial Pulpotomy):

ある研究では、MTAを用いた断髄の成功率が92%であったと報告されています。 

 

適応できないケースとは?

以下のような場合は、神経温存治療が難しく、根管治療が必要になることがあります。

  • 持続的なズキズキ痛い(不可逆性歯髄炎)
  • 神経の壊死・根尖病変が見られる
  • 広範囲の虫歯や歯の破折
  • 出血がコントロールできない場合

 

早期対応が、歯の未来を変えます。

虫歯が深くても、まだ神経が助かる可能性は十分にあります。

そのカギは、早期発見・早期治療です。

違和感を感じたら、「神経を残せるかどうか」を相談できる歯科医院にかかりましょう。

 

まとめ

  • 神経を残すことで歯の寿命が大きく伸びる
  • 神経を取ると歯根破折リスクが7.4倍に上がる(エビデンスあり)
  • MTAを用いた神経温存治療は成功率90%超え
  • 症状が軽ければ断髄や覆髄で保存できる可能性が高い
  • まずは「早めの受診」がすべてのカギ

 

こちらはより詳しく書いてあります。

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