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歯牙移植について

今回のテーマは。

” 歯牙移植”

についてお伝えします。

 

歯科医師監修最新版!!

 

【1】歯牙移植とは?

歯牙移植とは、自身の健康な歯を別の部位へ移植する治療法です。

特に親知らずや不要な歯を活用して欠損部位に移植することで、インプラントやブリッジと異なる自然な噛み合わせを実現できます。

この治療は、適応症例に当てはまる場合、高い成功率と長期的な安定性が期待できます。

 

インプラントやブリッジなどより有用な点がたくさんあります!!

インプラント前に一度考えたほうがいいかも!?

【2】インプラントより移植が有用な点

 

To save or to extract, thatis the question. Natural teeth or dental implants in periodontitis- susceptible patients: clinical decision-making and treatment strategies exemplified with patient case presentations Dan Lundgren 50%, Periodontology 2000, Vol. 47,2008, 27-50

 

こちらは有名な論文です!これを簡単に言うと!

・インプラントも一生持つものではない
・インプラント周囲炎のリスクがある
・40歳で歯を失い、そこにインプラントした場合、70歳頃でインプラントを喪失する可能性高い

 

これらを考えると

インプラントをいかに遅くすべきかがポイント!

 

歯歯を失い、インプラント前に移植をするのも一つの選択肢としてとてもいいことです!

 

【3】治療の流れ

1. カウンセリング・診断

まず、歯科医がレントゲンやCTスキャンを用いて、移植可能な歯の有無や移植先の状態を確認します。

2. 移植手術

・移植する歯を慎重に抜歯

・受け入れ部位を適切な形に整える

(移植する部分に歯がある場合は、移植手術の前に抜くこともあります。)

・移植歯を固定し、縫合、固定

3. 抜糸

術後1〜2週間ほどで抜糸します。

4. 移植歯の根管治療

移植した歯の神経は、抜いた際に神経が切断されます。これにより、細菌感染のリスクが高まります。根管治療は、感染を予防するために神経の内部を清掃し、消毒します。

5. 仮歯

仮歯にして、噛んだりしても問題ないかを確認。

6. 被せ物装着

状態を確認し、問題なければ被せ物をします。

7.メンテナンス

術後メンテナンスをしっかり行うことが、移植歯の状態を良好に保ちます。

 

【4】成功率とエビデンス

歯牙移植の成功率は非常に高く、

・5年生存率 93.5%(東北大学研究)

・10年生存率 73.6%(伊藤 2012年)

・大阪歯科大学の調査では、成功率88.6%、生存率96.2%

・韓国の大学での調査では生存率が

→45歳以下ではそれ以上の人と比べて4.05倍

→ドナー歯(移植する歯)が上顎の場合、下顎だった場合と比較して5倍

→口腔外露出時間が15分以下だった場合、それ以上の場合と比較して3.26倍

という結果になりました。

 

これらの研究データによると

若い人上顎の歯を移植する場合にはより成功率が高くなることがわかります。

 

【5】移植歯の根形態のおすすめ

1. 単根歯が最適

理由:根の形がシンプルで移植がしやすく、成功率が高い

2. 根の形が円錐形または単純な形状

理由:歯槽骨に適合しやすく、血流の維持しやすい

3. 歯根膜が残りやすい形状

理由:歯根膜の生存が移植の成功率を左右する

 

【6】避けたほうがよい根形態

根が湾曲している歯(例:上顎第一大臼歯)

分岐部が多い歯(例:大臼歯全般)

短すぎる歯根(固定が難しいため)

 

【7】費用について

歯牙移植の費用は 保険の可否 によって異なります。

治療方法

費用相場(神奈川県)

保険適用の場合

約1〜3万円

自由診療の場合

約10〜20万円

 

他の治療法と比較すると、インプラント(約30~50万円)よりコストを抑えられることがメリットです。

 

当院では、移植の費用は根管治療も含めて

110,000円と被せ物代となります。

*被せ物代はHPの料金表をご確認をください。

 

【8】メリット・デメリット

メリット

自分の歯を活用するため、生体親和性が高い

周囲の歯を削らずに済む(ブリッジと比較)

咬合力が自然で、違和感が少ない

 

デメリット

適応のケースが限られる(移植可能な歯が必要)

術後の定期的なケアが必要

成功率は術者の技術による部分も大きい

 

【9】保険適応と適応外の違い

 

移植だけに限りませんが、保険内と保険外は、どちらもメリットデメリットはあります。

 

保険外治療は成功率を高めることが可能です!

しかし、保険外であれば必ず上手くいくということは医療においてありません。

 

移植のみで考えると

移植の定着しやすくなるような薬(リグロス、エムドゲイン)などの使用ができるなど様々なメリットがあります。

 

個人的に差が1番大きいと感じるのは、時間をいかに使えるかだと思います。

日本の保険診療では、診療報酬に対する時間は正直あまり取ることが出来ません。

しかし、自由診療は費用がかかるデメリットはありますが、診療報酬に対してしっかり時間を取ることが可能です。

 

時間があれば精密かつ丁寧な治療を行うことができます。

急いで焦って治療することは成功率に大きく関わりますし、説明などもしっかり行うことが出来ないなど様々なデメリットがあります。

 

ここは、費用面も大切に感じるか

歯の大切さを感じるかによって良し悪し変わります。

 

【10】症例

治療前

治療前

治療後

治療後

主訴 歯が痛く、腫れている
治療期間 3〜4ヶ月
治療費 ¥110,000(税込)
治療内容 右下奥歯が割れているため抜歯となりました。親知らずが残っていたため、抜歯後に親知らずを抜いた場所へ移植しました。
治療のリスク 上手く生着しない(くっ付かない)ことがあります。

 

【11】最新の研究データ(エビデンス)

歯牙移植(自家歯移植)は、患者自身の歯を別の部位に移植する治療法であり、多くの研究でその有効性と高い成功率が報告されています。以下に、主な研究結果をまとめました。

 

成功率と生存率

Schwartz O.(1985年):1955年から1980年にかけて291本の自家歯移植を対象とした研究で、5年後の成功率は76.2%、10年後は59.6%と報告されています。

Andreasen J.O.(1990年):1973年から1985年にかけて370本の自家歯移植を調査し、平均生存率は98%と非常に高い結果が示されています。

東北大学の研究(2003年):成熟した歯根を持つ歯の自家移植において、5年生存率が93.5%と報告されています。

大阪歯科大学附属病院(2013~2021年):105例の自家歯移植の調査で、生存率96.2%、成功率88.6%と高い結果が得られています。

 

これらの研究から、歯牙移植は適切な症例選択と手術手技の向上により、高い成功率と生存率を示す有効な治療法であることがわかります。

特に、移植前の詳細な計画や術後の適切な管理が成功の鍵となります。

 

【12】まとめ

歯牙移植は 自分の歯を活用できるメリットが大きく、適応症例なら高い成功率が期待できます。

 

このブログでは、歯牙移植を検討している方に向けて、最新の情報をお届けしました。

 

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