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歯肉移植(歯茎が下がった人へ)

今回のテーマは。

” 歯肉移植”

についてお伝えします。

 

【歯ぐきが下がる?】

歯茎が下がって見た目が気になる人は必見!!

歯科医師が専門的に解説します。

歯肉退縮の原因と結合組織移植術での治療法です。

(1)歯肉退縮とは?

歯肉退縮とは、歯ぐき(歯肉)が下がり、歯の根元が露出してしまう状態です。

これにより、見た目の変化知覚過敏虫歯のリスク増加などの問題が生じます。

(2)歯肉退縮の原因

歯肉退縮の主な原因には下記の理由があります。

①強い歯磨き(過度なブラッシング圧)

②歯周病(歯を支える組織の破壊)

加齢(自然な変化)

④不適切な歯並びや噛み合わせ

⑤矯正治療後の影響

 

*④と⑤の理由について

【ボーンハウジング】が原因になります。

バーンハウジングというのは…

これは、一言で言うと、顎の骨の中に歯の歯根を収める、と言うことです。

このようにご自身の骨の中(赤い線)に歯がしっかり収まっていることが大切です。

しかし、こちらのように

ご自身の骨の中に歯が入りきっていない場合に歯肉が下がりやすくなってしまいます。

これは八重歯など歯が外側に出ている場合に起きやすいのと、矯正治療により起きてしまうこともあります。

つまり、歯の根っこは骨の中におさまる範囲内にあれば歯肉は下がりにくいということです!

 

(3)歯肉退縮の治療法

歯肉退縮の治療法は、進行度や原因によって異なります。軽度ならセルフケアや歯科医院での処置で対応できますが、重度の場合は外科的治療が必要になることもあります。

①軽度の歯肉退縮

a.正しい歯磨き習慣の見直し

歯肉退縮の大きな原因のひとつが強すぎるブラッシングです。以下のポイントを守りましょう。

柔らかめの歯ブラシを使用する

力を入れずに小刻みに磨く(ゴシゴシこすらない)

歯科医推奨の歯磨き粉を使う(フッ素入り・低研磨タイプが◎)

 

b.歯科医院でのプロフェッショナルケア

定期的な歯科検診とクリーニングで歯周病や歯石の蓄積を防ぐことが重要です。

スケーリング(歯石除去)

ルートプレーニング(歯根表面のクリーニング)

②中等度~重度の歯肉退縮

歯ぐきが大きく下がり、知覚過敏や審美的な問題が出ている場合は、歯科医院での専門的な治療が必要になります。

a.結合組織移植術(CTG:Connective Tissue Graft)

結合組織移植術は、下がった歯ぐきを回復するための外科的処置です。

上あご(口蓋)から自家組織を採取し、歯ぐきに移植する方法

知覚過敏の軽減や、審美性の向上が期待できる

b.歯肉弁移動術(歯肉を移動させる手術)

歯ぐきを移動させて、歯根を覆う治療法

自家組織移植なしで改善が期待できるため、負担が少ない

*長期予後は移植片があった方が良いです。

下記に科学的エビデンスを載せます。

◎CTGの効果に関するシステマティックレビュー・メタアナリシス

★Thoma et al. (2009)

研究内容: 1996〜2007年に発表された文献のシステマティックレビュー

結果:CTGは、フラップ手術単独(CAF: Coronally Advanced Flap)と比較して完全被覆率(CRC: Complete Root Coverage)が有意に高い

付着歯肉幅(KTW: Keratinized Tissue Width)の増加も確認

審美性と患者満足度が向上

 

★Cairo et al. (2014) – Cochrane Review

研究内容: 35件のRCT(ランダム化比較試験)を含むメタアナリシス

結果:CTG+CAFの組み合わせは、CAF単独に比べて根面被覆率(RC: Root Coverage)が有意に高い(平均84.1%)

付着歯肉の増加、歯肉厚の増加、長期安定性の向上が確認

患者の審美的満足度が向上

 

長期的予後としては

★McGuire et al. (2012)

5年以上の追跡研究で、CTGの根面被覆率は80%以上維持

• 付着歯肉の増加と歯肉厚の増大が長期的に安定

★Chambrone et al. (2016)

• 10年間のデータでは、CAF+CTGの成功率が最も高い

• メンテナンスを怠ると後戻りする可能性がある

 

難しいので簡単にお伝えすると

歯肉移動させるだけより、歯肉移植と併用することのが望ましのと、良好な結果を得られて長期的な予後がいいってことです!

 

(3)結合組織移植術(CTG)とは?

歯肉退縮を改善するための治療法の一つに結合組織移植術(CTG:Connective Tissue Graft)があります。

これは、患者自身の口腔内から結合組織を採取し、歯ぐきに移植する手術です。

◎結合組織移植術の流れ

1.移植する組織の採取

主に上あご(口蓋)から歯ぐき(結合組織)を採取

2.移植部位の処置

歯肉退縮が起こっている部分に歯肉移植できるように切開をおこなう

3.移植組織の固定

採取した組織を歯ぐきに移植し、縫合

4.治癒期間

数週間かけて歯肉が定着

 

(4)結合組織移植術のメリット・デメリット

メリット

歯ぐきのボリュームを回復し、審美性が向上

知覚過敏の軽減(露出した歯根をカバー)

将来的な歯肉退縮の予防

デメリット

ドナー部位(口蓋)の痛み(採取した部分がしばらくヒリヒリすることがある)

治療費がかかる(保険適用外の場合が多い)

手術後のダウンタイム(腫れや違和感が出ることがある)

 

(5)手術後のケアと注意点

手術後の成功率を高めるためには、適切なケアが重要です。

刺激の強い食べ物を避ける(辛いもの・熱いものはNG)

歯磨きはやさしく(強く磨かないよう注意)

処方された薬をしっかり服用(感染予防のため)

定期的な歯科検診で経過をチェック

 

 

(6)症例について

before

after

 

(7)まとめ

歯肉退縮は見た目や健康に影響を及ぼすため、早めの対策が重要です。

結合組織移植術は効果的な治療法の一つですが、予防が最も大切です。

正しい歯磨き習慣を身につける

歯科医院での定期的なクリーニング

異変を感じたらすぐに相談

 

「歯ぐきが下がってきたかも?」と感じたら、ぜひ一度歯科医院で相談してみましょう!

 

いつも最後まで見ていただきありがとうございます!

 

LINEでもお気軽にご相談お待ちしております!

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